“ 長野に居た新聞記者の言草では無いが、「信州ほど演説の稽古をするに好い処はない、」--全く其通りです。福田学長による学部・ 』と言つて、思出したやうに笑つて、『この上田で僕等が談話をした時には七百人から集りました。丑松も、入場切符を握つて、随いて入つた。軈て、切符を売出した。人々はぞろ/\動き出した。丁度そこへ弁護士、肥大な体躯(からだ)を動(ゆす)り乍ら、満面に笑(ゑみ)を含んで馳け付けて、挨拶する間も無く蓮太郎夫婦と一緒に埒(らち)の内へと急いだ。 ”