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津田は何気なく答えた。話すのに訳はなかったけれども、夫人と相談した事柄の内容が、お延に対する彼を自然臆病にしたので、気の咎(とが)める彼は、まあ遠慮しておく方が得策だろうと思案したのである。 なぜ早く吉川夫人の来た事を自白してしまわなかったかと後悔した。彼女は急に鋭どい声を出した。津田は夫人の齎(もたら)した温泉行の助言(じょごん)だけをごく淡泊(あっさ)り話した。 お延は夫より自分の方が急(せ)き込んでいる事に気がついた。 お延にお延流の機略(きりゃく)がある通り、彼には彼相当の懸引(かけひき)があるので、都合の悪いところを巧みに省略した、誰の耳にも真卒(しんそつ)で合理的な説明がたやすく彼の口からお延の前に描き出された。日本語吹き替え版では第20話(通算)の『リトルポニーTV』(リトルポニーティービー)で言及された。